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旧イリアイ町界隈には『たまりみず』という名のサビ崩れたカフェがあります。そこでは、退屈に閉じ込められた他愛の無い、やっぱり退屈なお話がたっぷり詰まっています。そんなお話たちの一片をごらんになれる地球で唯一の場所。。

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ふらふらふら 

ある日の、ちょうどお昼ごろの出来事である。

普段、ボクは昼飯を12時半頃に食べるようにしている。

率直に、腹が減るからだ。

これは、例えば誰かと外出していても同じで、やはり12時半頃になると、ボクの腹時計が空腹のお知らせをする。

この空腹のお知らせを受けてから、どれだけ早く飯にありつけるかが、午前中から午後にかけての、ボクの一番の関心事である。

12時半を回ったあたりから、イライラとの戦いになるのである。

街中で、腹が減っただけで、怒っている人を見かけても、どうかそっと見守っていてもらいたい。

世の中にはそのような、人間がなちゃいない人が、ボクを含め、けっこう多数いるはずだ。


そろそろ飯にしようと、用意をしていたときの事だ。

突如として、店の玄関で老人が倒れている、と内線が入った。

やむなく、開きかけた弁当箱の蓋をもう一度閉じて、店の玄関へ駆けつけた。


現場に駆けつけてみると、確かに店の玄関口で、八十歳ほどの海老のような背中をして小さくなった爺さんが、今朝方よりの大雨で髪の毛や衣服をびっしょりと濡らせ、地面に這いつくばっていた。

うちの店の客層は高齢者ばかりで、特に午前中は老人ホームと化す。

足の悪いご老人は珍しくもなんともない。

店内のエスカレーターから転げ落ちて、血まみれになった爺さんを何人も見てきた。

転げ落ちるのは、決まって爺さんだ。

そしてこの日も、雨で濡れたタイルで足を滑らせたのか、案の定、爺さんが地面に転がっていた。

「大丈夫ですか?」

助け起して、杖を握らせると、手足がふらふら震えている。

1分後には、また同じ現場で転んで動けなくなるに違いない。

仕方なしに、お客様休憩場の椅子に腰掛けさせて、しばらく休んでから帰りましょうと諭した。

足に力が戻れば、一人で帰れるだろう。一人で歩いて来たのだし。

過去にも同じケースはたくさんあった。

爺さんを休憩場へ残し、なにかあったらスタッフに声をかけてください、とだけ言い残し、ボクは弁当を開いた。


5分ほどして、再び内線が入った。

先ほどの爺さんが、あれからすぐに自力で立ち上がり、椅子の前で転んで起き上がれなくなっているとのこと。

すぐさま現場に駆けつけて、爺さんを助けお越し、椅子に座らせた。

外はざんざん降りの大雨。

こいつはもはや、自力で帰るのは不可能。

かと言って、このまま放置するわけにもいかず、110番通報して、警官の応援を要請した。

「今からお家に帰るお手伝いをしてくれる人が来るから、もうしばらくここで休んでいてくださいね」

爺さんは、耳が遠いのか、口を開く気力も無いのか、ほとんど無言で俯いたまま。

髪の毛も服も、びっしょり濡れたままだった。


しばらく爺さんと警官が来るのを待っていると、やはり爺さんは自力で立ち上がろうとし、杖を持って今度は上手い具合に立ち上がった。

亀よりもナマケモノよりも、のろいのろい足取りで、一歩一歩と歩いてゆく。


自力で帰るつもりなんだな、と思い、玄関まで後ろをついて行くと、なんとエスカレーターに乗ろうとするでは無いか。

「お爺ちゃん、そいつぁー、あんまりに危険だ」

爺さんは、蚊の鳴くような小さな声で、

「嫌だ・・・」

と言った。

「あっちにエレベーターがあるから、お買い物をするんだったら、エレベーターで降りよう」

と言うと、エレベーターまで歩かなくてはいけないから、嫌だと言った。

「そんなこと言ったって、転げ落ちたら大怪我するよ!」

その後、爺さんは無言。

足取りはゆっくりゆっくり、しかし確実にエスカレーターへと向かう。

「お爺ちゃん、ダメだって!本当に大怪我するよ!おぶってやるから、エレベーターへ行こう」

とのボクの忠告も無視。

どうしようもない頑固じじいじゃないか。

ボクも、だんだん腹が立ってきて、このときスリッパでも持っていたら、爺さんの頭をパコーンッ!と一発はたいていたかもしれない。


・・きっと、腹が減っていたからだろう。

爺さんの牛歩戦術(?)を止められず、仕方なくボクは爺さんを後ろから羽交い絞めにして、一緒にエスカレーターに乗り、地下フロアーまで送り届けた。


聞けば、この爺さんは一人暮らしだという。

買い物をしなければ、食べるものさえままならない。

決死の覚悟でエスカレーターに乗ったのか、それともいっそ死にたかったのかは定かではないが、悲しい話だ。

ここらじゃ珍しい話じゃない。

身寄りの無い一人暮らしの老人を、ボクはどれだけ見てきたことだろう。


爺さんの買い物に付き合っていると、程なくして、婦警がふたり到着した。

到着するやいなや、なんだか爺さんを見下した偉そうな態度で、この婦警は癪に障ったが、とりあえず爺さんを預けて一件落着。


ようやくボクも弁当にありつける。

爺さんの頭をスリッパではたくことを躊躇する自制心は、まだボクの中にもあったことを確認してほっとした。


その後。

すっかり昼飯も平らげ、食後のコーヒーを飲んでくつろいでから、食後の散歩がてらに、店の裏の商店街へ向かうと、店からほんの30メートルほどにあるパチンコ屋の前で、見慣れた背中を発見した。

婦警さんに連れられて店を出てから、かれこれ1時間半は経過しているはずだった。

錆崩れそうな自転車にもたれかかって、大雨の中、頭も体もびしょびしょになった爺さんが、亀のように、ナマケモノのように、ゆっくりと、ゆっくりと歩いている姿が目に入った。

自転車を歩行器代わりにして、自分のペースで歩いていた。


婦警さんに送ってもらえば、ずぶ濡れにならずに済んだのに。

どこからどこまでも、頑固な爺さんである。

完全に足腰が弱りきっても尚、自力で生きていかなければならない悲しさと、人間の力強さを同時に見た気がした。

ボクは爺さんの横を素通りして、商店街へと消えた。
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2009/11/08 01:43|My だいありーTB:0CM:2

【冒頭のUTA】 たまりみず 


地中深くには水脈がある

そこが砂漠や氷土であっても

無数に張りめぐらされ

絶えず流れをもっている

地から萌え出た芽にも

街路樹にも水脈が

手の平でつぶれた小虫の中にもやはり


街灯にも電信柱にも壊れたビルディングにも

私の視界に入るもの全てに

もはや水脈があるとしたら

あなたの中にも水脈があり

わたしの中にも水脈がある

我々はひとつの水脈でつながり合っている


森の中で耳を澄ませよう

すさまじい勢いで水を吸い上げる音は

この世の生命の証

世界は常に躍動している

毎秒ごくわずかずつ

草木は伸び 草木は枯れる

子は育ち 大人は老いる

毎日一万人の人が死ねば

毎日一万人の人が産まれる

人間だけのことじゃない

動植物ありとあらゆる生命についても

やはり同じだ

それらはすべて同じだ

ひとつの水脈によって我々はつながり合っている

遥か昔の大昔 地球誕生の頃より

水は何度も蒸留され使い回されてきた

たったひとつの水脈を流れ流れて


水とはつまり

我々自身のこと

そして

我々自身が絶えず美しくあるならば

世界はずっとすべてが

美しいままだ

世界はずっとすべてが

美しいままだ
2009/11/08 00:16|冒頭のUTATB:0CM:0

遅筆にて 

ブログにトピを上げずに早、半年。

月日の流れるのは、雲のようにも、川のようにも早いわけで、ぼんやり生きてきて、ふと我に返ってみれば、このところまったく文章を書いていなかった。

自分のブログなのだから、言い訳くらい許されるだろうから、あえて書くが、ボクは恐ろしく遅筆のため、PCを前にすると、手足が氷結してしまい、小一時間程度、固まってしまう。

その恐怖感から、最近はPCにすら、近づかないよう、自室に篭りながらも細心の注意を払い、慎ましやかに生きてきた。


最近、十姉妹を飼っている。

仕事先で懇意にしている警備員氏と、昨今の不景気の話やら、野球の話やら、飼っているペットの話やらをしていると、ペットの話にやたらと食いついてきた。

「とにかく、十姉妹ってのは増えて増えてしょうがない。今度、もってきてやるよ」

その際、いつものように、煮え切らない生返事を、ついうっかり・・してしまったのだろうか?

左の耳から入れた警備員氏の話を、あっさり右の耳へと流してしまって、それっきり忘れていた。


ほどなく、出勤してみると、笑顔で警備員氏が、

「持って来たで」

と、言った。

反射的にボクは、

「何を?」

警備員氏は、怪訝な表情を浮かべつつ、

「つがいでな」

足元を見れば、大きな鳥かごがひとつ。

スズメよりもまだ小さな小鳥が二羽、申し訳なさそうに、止まり木に止まっていた。

「カゴも一緒にやるわ」

なんでも、わざわざつがいにするために、オスは隣にあるペットショップで飼ってきたのだとか。

丁寧に、小鳥の餌までダイソーで買い揃えてくれて、飼育に必要な一式を丸ごと戴く事になった。


一応、断っておくが、鳥の飼育に関して言えば、小学生の低学年以来経験が無く、かれこれ25年以上は、鳥を飼った試しがない。

実家には、家中を走り回る獰猛な猫が二匹もいたし、室内犬が更に二匹いた。

小鳥なんぞを、うっかり部屋で遊ばせようものなら、彼らの格好の遊び道具にされ、即死していただろう。

そんなわけで、低学年以降、小動物を飼ったことが無い。


ところで、ボクは電車通勤をしている。

職場は神戸の兵庫区にあり、阪急新開地駅を利用しており、三宮駅にも停車する。

スーツに身を包んだ良い大人が、十姉妹の入った鳥かごを持って、電車に揺られて帰宅する・・・とは。

いや、しかしどうにもならない。

警備員氏の笑顔は、実に純粋そのものだ。

悪意はまったくない。

わざわざ、オスを買ってきて、つがいにするような人物が、悪者であろうはずがない。

おまけに、小鳥の餌まで買ってきてくれる念の入れようだ。

彼は善人だ、善人に違いないのだ。


ボクは鳥かごを片手に、夕方5時過ぎに退勤した。

新開地の駅まで歩き、大きな鳥かごを抱えて改札を抜け、電車に乗った。

三宮で停車すると、案の定、どっと人がなだれ込んできた。

車内はあっという間に、いっぱいになった。

人いきれで蒸した車内で、

「チッ、チッ」

と、か細く十姉妹のメスが鳴いた。

二三人の乗客と目が合った。

十姉妹が電車に乗って、いったい何が悪いんだ?

外国へ行けば、牛や豚だって平気な顔をして車内で寝そべっているはずだ、と開き直った。


かれこれ三ヶ月。

十姉妹に見とれて、文筆がおぼつかなかったというわけだ。


ああ、もうこんな時間だ。

これだから、文章を書き出すと困る。

2009/11/03 23:15|My だいありーTB:0CM:0

プロフィール

ろんど

Author:ろんど
高校時代に伝説のパンクバンド『Felicitous Dog』のメインボーカルとして活躍。ライブ活動多数。「今夜はオレのためにありがとう」などのMCで一躍脚光を浴び大スターの座に躍り出た。高校3年の学祭ではトリを務め、全校生徒を完全に魅了した。バンドは高校卒業時解散。
その後デュオ『Power of myth』のメインボーカルとして再び音楽活動に入る。神話的イメージとタンゴ調POPSの融合を試み新しい音楽の創造に尽力、友人、知人、他人、周辺住民の間で一世を風靡した。活動期間わずか4年で解散。
一方、大学在籍一年時に非公認サークル『創作文藝会』を有志4人らとともに創設。初代~3期の会長に就任。文芸同人誌 『ん!?』の編集長として創刊号から第9号まで手がける。
自身も小説、ポエム、エッセイ、旅行記など幅広く投稿し作家としての一面も合わせ持った。淡い青春時代の虚栄心を克明に描いた処女作『はげ』で衝撃のデビュー。『正常な狂人』『路地裏メルヘン倶楽部』『テープスペクタクル』『シルエット』『おやっさんの体験談』『山田X』『光芒の黒』『循環』など次々とヒット作を連発し、ファンタジックな世界観をやさしく流麗な文体で表現した悲喜劇が主に女性読者層のファンを集めた。また自身の旅行記を著した『中国おったまげ探訪記』『インド・ネパールぶったまげ放浪記』などアクティヴ派作家としての一面も持ち、抱腹絶倒で痛快な文体は学生諸君に夢と希望を与えた。詩人としては、銀色夏生をもじったペンネーム 金色なめを で純情恋愛ポエムを次々と発表。学内の話題を総なめにした。他、読書案内の『ろんどのやけっぱち書房』シリーズ、映画紹介の『寝巻きでシネマ館』シリーズなどがある。
第3期目には非公認サークルから大学公認クラブへと昇格させ、大学から予算がおりるようになるやいなや、連日連夜に渡って放蕩の限りを尽くした。
学生時代はインド、ネパール、インドネシア、中国、西欧諸国等海外放浪をライフワークとした。おかげで日本社会に馴染みきれないもどかしさがある。

現在はしがない会社員。一児の父。趣味は散歩と昼寝の他、特にない。座右の銘は『私が自画自賛しなければ一体誰がしてくれよう』である。

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