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旧イリアイ町界隈には『たまりみず』という名のサビ崩れたカフェがあります。そこでは、退屈に閉じ込められた他愛の無い、やっぱり退屈なお話がたっぷり詰まっています。そんなお話たちの一片をごらんになれる地球で唯一の場所。。

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ゴスペルの流れた日 

年末の慌しい最中、昨年の暮れは気持ちのいいひとときがありました。

ボクが勤めるお店は、駅ビル一階のワンフロアーを大きく占めるメインテナントなのですが、そのお店の前には広場があり、週末の度に大道芸やらマジックショーやら、工作教室やらのイベントが催される会場があります。

太陽の広場。

そこでクリスマス・イヴの日、ゴスペルの合唱コンサートがありました。

ゴスペルというと、クリスマスにしか聴いた記憶が無いのですが、学生時代はクリスマスのたびに、神戸のハーバーランドへ出掛けては、街頭で催されているゴスペルコンサートを聴くのがボクの中でのイベントになっていました。


ゴスペルを歌うアマチュア団体の彼らの年齢層は実に様々です。

学生風の若者もいれば中高年の方もいる。

色んな年齢層の男女の、普段の日常生活では接点の無いであろう彼らが、歌によって結びつき、ステージの上で熱唱している。

どの顔もみんな楽しそうで、歌うことが大好きな人の集まりです。

太い声もあれば細い声も、高い声もあれば低い声も入り混じって、しかしきっちりまとまっていて、それは美しいハーモニーです。


プロである必要などありません。

歌を伝えることにとって、技術はたいした問題ではありません。

歌うことを楽しみ、楽しい歌を聴かせることは幼児にもできることです。

歌うことが大好きならば誰だって参加できます。

そうして集まったのがゴスペルを歌う彼ら彼女らだったのでしょう。


ボクのお店にやってきた方々も、実に素晴らしいコンサートを開いてくれました。

店頭に立つ傍ら、ボクはじっと耳を澄ませて聴いていました。

じんわりと、しかし強い衝撃とともに胸が熱くなって、自然と涙が滲んできました。

いちスーパーの店員のボクが、店頭で泣き出すのも憚られるので、ぐっと我慢しつつ、それでも涙が出てきました。

感動という単純な言葉では表現できませんし、涙が出た理由などわかりません。

言葉というのは、このようなものを目の当たりにしたときは不器用で、一切合財の巧みな表現を駆使しても、もはや表現のしようのない境地があります。

音楽を聴いたとき、絵画を見たとき、ボクは自分の表現の乏しさを考える前に、言葉による表現をしようとすること自体において、間違っていると判断してしまいます。

音楽が、絵画がそこにある、ということの価値は、言葉によって表現できないことにある、とも言えると思うのです。

すべての美しさには本来、意味などないのです。

そして意味などない、ということを知ることこそが、音楽を絵画を芸術を知ることなのでしょう。

このような世界では、多くを語る者は多くを知らぬ者であるケースが多く、饒舌なアーティストの作品には、大切な何かが欠けているようにも思います。

言葉を大切にする一方で、言葉に逃げないあり方が必要かと思います。


感動こそがこの世でもっともゴージャスなことなのだ、ということ。

その感動とは、日常生活において、様々な場面で存在しています。

よーく観察してみてください。

発見できた者だけが受け取れる贈り物が、この世の中には、まだまだたくさんあり、毎日生まれ続けているのです。

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2007/01/04 17:19|未分類TB:0CM:0

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プロフィール

ろんど

Author:ろんど
高校時代に伝説のパンクバンド『Felicitous Dog』のメインボーカルとして活躍。ライブ活動多数。「今夜はオレのためにありがとう」などのMCで一躍脚光を浴び大スターの座に躍り出た。高校3年の学祭ではトリを務め、全校生徒を完全に魅了した。バンドは高校卒業時解散。
その後デュオ『Power of myth』のメインボーカルとして再び音楽活動に入る。神話的イメージとタンゴ調POPSの融合を試み新しい音楽の創造に尽力、友人、知人、他人、周辺住民の間で一世を風靡した。活動期間わずか4年で解散。
一方、大学在籍一年時に非公認サークル『創作文藝会』を有志4人らとともに創設。初代~3期の会長に就任。文芸同人誌 『ん!?』の編集長として創刊号から第9号まで手がける。
自身も小説、ポエム、エッセイ、旅行記など幅広く投稿し作家としての一面も合わせ持った。淡い青春時代の虚栄心を克明に描いた処女作『はげ』で衝撃のデビュー。『正常な狂人』『路地裏メルヘン倶楽部』『テープスペクタクル』『シルエット』『おやっさんの体験談』『山田X』『光芒の黒』『循環』など次々とヒット作を連発し、ファンタジックな世界観をやさしく流麗な文体で表現した悲喜劇が主に女性読者層のファンを集めた。また自身の旅行記を著した『中国おったまげ探訪記』『インド・ネパールぶったまげ放浪記』などアクティヴ派作家としての一面も持ち、抱腹絶倒で痛快な文体は学生諸君に夢と希望を与えた。詩人としては、銀色夏生をもじったペンネーム 金色なめを で純情恋愛ポエムを次々と発表。学内の話題を総なめにした。他、読書案内の『ろんどのやけっぱち書房』シリーズ、映画紹介の『寝巻きでシネマ館』シリーズなどがある。
第3期目には非公認サークルから大学公認クラブへと昇格させ、大学から予算がおりるようになるやいなや、連日連夜に渡って放蕩の限りを尽くした。
学生時代はインド、ネパール、インドネシア、中国、西欧諸国等海外放浪をライフワークとした。おかげで日本社会に馴染みきれないもどかしさがある。

現在はしがない会社員。一児の父。趣味は散歩と昼寝の他、特にない。座右の銘は『私が自画自賛しなければ一体誰がしてくれよう』である。

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